エコシステムをつくるために、プラットフォームに必要な3つの要素
エコシステムとは、大雑把に言うと、参加者の行動がうまく連鎖することで、システム全体の質が向上する、あるいは良い質が維持されるというものです。そして、プラットフォームとはエコシステムの土台となる部分です。ここでは、エコシステムをつくるために、プラットフォームに必要な3つの要素を iTunes Store、Twitter の2つを例に取り説明します。
多数の参加者が存在すること
ここでの参加者とは、
- iTunes Store の場合、レコード会社とユーザ
- Twitter の場合、ユーザのみ
になります。
iTunes Store のような「コンテンツプラットフォーム」の場合は、レコード会社という「コンテンツプロバイダ」を多数集めることが最も重要になります。コンテンツがなければユーザは集まりません。それに対して Twitter のような「コミュニケーションプラットフォーム」(そう名付けていいのかは迷うところですが)はユーザのみから構成されているため、多数のユーザを集めることが重要となります。ここでどれだけ多くのユーザ、おもしろいユーザを集められるかが、次の「やりとりの蓄積」に効いてきます。
参加者間のやりとりがプラットフォームに蓄積されること
ここでのやりとりとは、
- iTunes Store の場合、楽曲の購入や楽曲に対する評価
- Twitter の場合、リプライやリツイート、お気に入り
になります。
プラットフォームに多数の参加者がいれば、必然的に蓄積されるやりとりは多くなります。また、おもしろいユーザがいれば蓄積されるやりとりの質が高くなります。
ここでのやりとりは、いかに少ない労力できるか、あるいは自然な形でできるかが重要です。楽曲に対する評価やツイートのお気に入りはワンクリックでできますし、買い物(楽曲の購入)やコミュニケーション(リプライ)は日常的で自然な行いです。ここでどれだけのやりとりを蓄積できるかが、次の「フィードバック」に効いてきます。
蓄積されたやりとりが参加者にフィードバックされること
ここでのフィードバックとは、
- iTunes Store の場合、トップチャートや「Genius おすすめ」(楽曲のレコメンド)あるいはiTunes自体のGenius(自動プレイリスト作成機能)
- Twitter の場合、buzztterやtogetter
になります。これらはある種の集合知だといえます。
フィードバックは新たなやりとりを生み出すきっかけとなります。例えば「Genius おすすめ」でレコメンドされた楽曲を購入する。あるいは、togetterでまとめられた議論を読み、自分の意見をつぶやくといったことが考えられます。また、フィードバックの価値が高いものであればプラットフォームに新規参加する動機にもなります。
ここで注目すべきは、buzztterもtogetterもTwitterの公式サービスではないということです。APIさえ提供すれば、フィードバックの仕組みを提供するのはプラットフォームでなくてもよいのです。
以上、3つの要素がプラットフォームにあれば、そのプラットフォーム上での参加者のやりとりが量的にも質的にも十分なものとなり、エコシステムが形成されると考えられます。