本の未来をめぐる若手パネルディスカッションを聴きながら思ったこと。

図書館総合展1日目の「本の未来をめぐる若手パネルディスカッション」に参加しました。聴きながら色々思うところはあったのだけれど、PCがなくてTwitterに吐き出せなかったので、ここにまとめて記しておきます。殴り書きですがご容赦ください。なお、ディスカッションの詳しい内容は、humottyさんの記録や、togetterをご覧ください。

本はただの器にすぎない

 紙の書籍とか電子書籍とか、あるいはWebページでも雑誌でも新聞でもいいのですが、これらは全て器にすぎません。大事なのは器の中身、情報です。なので、紙がどう電子がどうという議論はどうでもいいなと。技術が進歩して器が変わるのは当然のことです。それこそ昔は石版やパピルスが器だったわけです。それが技術の進歩により、今のような質の高い本になった。なぜならそのほうが中身をより多くの人に伝えることができるし、新しい楽しみ方を提供できるからです。電子書籍がそのような役目を果たすのであれば、紙の書籍にとってかわるのは当然ですし、そこまでのものでなければ、まだまだ紙の書籍は残っていくでしょう。ただそれだけのことです。

図書館の本質が“人と人をつなげる”ことだとしたら

 “つながり”という言葉が流行ってますね。それ自体はまあいいことだと思うのですが、こと図書館においては、つながりをつくること自体はそんなに難しいことじゃないのかなと思います。(実際には色々しがらみがあって実現してませんが)貸し出し履歴を見て「あなたとあなたは同じ本を読んでますよ、つながりがありますね」って言えばいいわけです。問題はその後どうするのか。いきなり知らない人同士をつなげて、「さあ会話してください」というのは乱暴すぎますよね。難しいのはつながりをつくることではなく、つながりを深めることなんです。

 ここに図書館という現実空間サービスの難しさがあります。Webサービス(特にTwitter)であれば、まだハードルが低く、その人をフォローしたり、つぶやきを見たり、時にはリプライを飛ばしあうことでつながりを深めることができます。ですが、現実空間ではそうはいきません。1つの解決策はイベント+懇親会です。イベントの中でコミュニケーションを誘発するようなしかけをつくる。学校のように、同じ空間に同じメンバーが定期的に集まるとより効果的ですね。その上で、Webサービスとも連携し、つながりを維持・深化させる。というのがいいのではないかなあ、と思います。

「本をおもしろく」もいいけど、「本を空気のように当たり前の存在に」

 本をおもしろくするにはどうすればいいかという議論が最後にありました。これはこれで重要な視点だと思います。ただ、本自体をおもしろくするのは限界に来てるのではないかなあ、と個人的には思います。それよりは、「本を空気のように当たり前の存在に」というのが僕のアイデアです。本の中身はとても多種多様です。それらを図書館という1つの建物に集積するのは本当にいいことなのでしょうか。例えば、写真に関する本がカメラ屋にあったら、そこに訪れた人に効果的に本との出会いを演出することができるのではないでしょうか。多種多様な本だからこそ、多種多様な場に溶けこませることができるのではないか。場との相乗効果で本をより魅力的に見せられるのではないか。

 これらはすでにブックコーディネーターの方々がやられていることです。幅さんとか内沼さんとか。このような取り組みがもっと広がったらいいのになあ、と思ってます。


 余談ですが、内沼さんはパネラーとしてフォーラムに参加されており、終了後、少しだけですがお話を聴かせて頂くことができました。とても貴重かつうれしい体験でした!