「光の道」で地域格差は埋められてもデジタルデバイドとソーシャルデバイドは埋められない

「光の道」討論を聴く前も聴いた後もプラットフォームの方が重要だと考えていました。でもその考えを文章にしてるうちに考えが変わりました。(と言いつつさらに書き進めてるうちまたちょっと変わりました)


基本的にはプラットフォームが重要です。ただし、良いプラットフォームをつくるために「光の道」が必要。


理由を説明します。


教育・医療といった公的サービスのクラウド、プラットフォームをつくるためには、政府が主導しなければなりません。しかし、旧態依然とした政治家や役人にはそれができない。できない理由として最もよく使われそうなのが「格差」です。


地方の人達はサービスの恩恵を受けられない。不公平だ。そういうもっともらしい理由をつけて反論する人たちが大勢いるでしょう。そういう人達を黙らせるもっとも良い手段が、100%全国民に光回線を使えるようにする「光の道」構想なのです。したがって、孫さんの言うようにインフラを優先的にやるのは戦略的に正しいと思います。


しかし、格差は地域間だけではなく人の間にも存在するのです。それが討論にもあがっていたデジタルデバイドとソーシャルデバイドです。


例えば教育分野の場合、電子教科書を使うぐらいだったら、孫さんが言うように紙さえめくれる人なら大丈夫でしょう。しかし、iPadでできるのはそれだけではありません。Web上に存在するマルチメディアコンテンツやWebサービス(地理ならGoogleアースなど)を組み合わせて教材をつくる教師が出てくるかもしれません。また、ネットワークにつながるというiPadの特性を活かして、協調学習を行う教師も出てくるでしょう。そうしたときにデジタルデバイドとソーシャルデバイドの問題は、教育格差として重くのしかかってきます。


そういう格差を解決するためのビジョンが欲しいと思いました。孫さんには。きっと孫さんほどの熱意と情熱を持った人でなければ、日本という閉鎖的な国で多数のプレイヤーの協力が必要不可欠なプラットフォームを構築することはできないと思うので。